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僕の名前は十兵衛・・11月5日生まれの4番目の息子です・・よろしくねっ。


by fumiyoo
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老夫婦の歩いた道。

今日は連休の谷間、少しはゆっくりした気持ちでお店の準備・・昼休み十兵衛の散歩、少し暑くなってきたので昼間の散歩は疲れる。家事を終えてお店へ、暫らくして閉店の準備をしていた時、入ってきた昔からのお客さんのBさん。

「この間は有難う、雨ふってねぇ、旦那さんが優しく傘かしてくれたん、ホントに嬉しかったわ」
「あぁ、Bさん、何時でもいいのに・・」
几帳面な彼女は返す日を気にしてわざわざ来店したようだった。
パンを選びながら、おじさんの話になる。

「あの人とおったらおかしなるわ、変なことばっかり言い張る・・かなんわ」
おじさんは84歳おばさんは81歳。
若い頃は2人で「何でも屋(パンや野菜やてんぷら、雑貨品等を売っていた。今で言うコンビニのようなお店でしょうか?)」を切り盛りして2人の娘さんを育て上げ頑張り抜いてきた。
今から20年ぐらい前にお店は閉め、
2人がやり出したのは車で40分ほどの所に土地を借りての畑だった。
毎回お店に来るときに頂くおばさん自家製の“佃煮”。おじさんとおばさんが作るサツマイモ・枝豆・ほうれん草・大根。色んな物を貰った。
「何時までも元気で2人で頑張れていいねぇ。」
「そやねん、健康の為やねん。健康が一番やからね。健康の為には自分で野菜ぐらいは作らんとね。」おばさんは何時もそう言っていた。仲の良い夫婦。見習いたいと何時も思って話を聞いていた。

去年の8月だった。おじさんが車の運転中に「車の運転がわからん・・」と言い出したのは。
おばさんは恐くておじさんに「車の運転危ないよ・・」と言った。
車がなければ畑は出来ない。おばさんは決心して畑を止めた。

おじさんはアルツハイマーと軽い脳梗塞だった。
自分の家が分からない。
おばさんに「あんたどなたさん?」と聞く。
几帳面なおばさんが片付けてある引き出しを皆クチャクチャにする。毎日クチャクチャにする。
トイレが分からない。扉が開く所は何処でも用を足す。
おばさんは目が離せない。
夜も眠れない。
睡眠薬と安定剤で寝かせる。
毎日が2人きりなのでケンカになる。
近くの娘さんはお薬を取りにいったり、色んな用事は頼めるが娘さんも働いている。
そんなに頼れない。

デイケアーでおじさんが出かけたときがお買い物に行けると言う。
「でも、足が痛いからねぇ、あんまり出かけたくないのんよ。」
「でも、顔見てたらケンカになるわ。」
おばさんは話したいだけ話して帰っていった。
多すぎるぐらいのジュースやコーヒーを買って。

老老介護である。
限界が来る。限界まで頑張らせるために介護保険があるのか・・・・
誰を助ける為の介護保険なんだろう・・
介護保険で出来るところはしてやるが後は自分達でやりな!と言う国の方針のように思う。
全てを行政に頼ろうとは思わない。
昔の人は自分の事は自分で面倒見るぐらいの気概はある。
でも、何かおかしくない?

コレが今の現状なら、これからはもっと自己責任になるんでしょうね。
淋しい老人を増やしてばかりの社会って、豊かじゃない。
私達はなにか目をそらせてはいないだろうか?
老夫婦の歩いた道。_d0088332_23434717.jpg

おばさんから貰った、ずいきと山椒とチリメンジャコの佃煮
by fumiyoo | 2007-05-02 23:37