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僕の名前は十兵衛・・11月5日生まれの4番目の息子です・・よろしくねっ。


by fumiyoo
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丸坊主50円

Kさんは夫婦二人とお姑さんとの3人暮らしでした。Kさんは腎臓が悪くて週3回透析の為に病院へ行く。
行きかえりにお店によっては世間話をして帰って行く。
子供のいない彼女は家で縫い物の内職をしながら、お姑さんを世話していた。彼女は病気の為に食事制限を厳しくしていましたが、お姑さんはもう時期90歳にもなろうかと言うのに食欲が旺盛で何時も“カツサンド”をお姑さんの為に買っていく。

何日かKさんは来なかった。
来られたある日、買い物をするKさん「もう、カツサンドはいらんわ。」と言う。お姑さんが亡くなったんだ。

ある日、Kさんのご主人が買い物へ来た。
「初めてのお買いもの」といった感じだった。
母親と女房にかしずかれていたおじさんは買い物などした事がなかったようだ。
最初はおぼつかない買いもの風景だったおじさんもダンダン買い物を楽しむようになった。
「おばはんが病院やから仕方ないやろう・・」と照れ笑いしながら雑談も出来るようになっていった。

最近ではおばさんよりもおじさんが毎日やってくる。
時間帯によってはウチの旦那とお喋りしながら帰っていく。
旦那が休憩を取っている時は「お父さんは?・・」と聞く。
「今は 休憩です。」と私が言う。
何となく淋しそうに「ふーん」と言って帰っていく。

今日は珍しく私も旦那も居た。おじさんは嬉しそうに苦笑いしながら
「暑いから、帽子ぬいでん。今日は直射日光はないよって・・」
「これ、いいでー、これっ!」と旦那は悪戯小僧のように笑いながら頭に巻いたタオルを指差した。
おじさんは下を向いて笑っていた。

昭和27年に岐阜から京都へ就職の為にやってきて京都に居ついたと言うおじさんは小奇麗でチョットした「おしゃれさん」でした。
「お父さん、あんたみたいな作業着、着てたら頭の鉢巻きも似合うけど、おじさんはおしゃれだから、駄目やん。なぁ、おじさん、嫌やなぁ?」と私が言う。
「そうか!なるほど、俺ぐらい、汚れてんと、似合わんか。」
\(^o^)/顔を見合わせて3人で笑った。

「頭スッキリしてんなぁ、丸坊主でっか」と旦那が聞く。
「丸坊主ちゃうで、ちゃんと散髪してんやで・・」
確かに2分か5分ぐらい、微かに髪の毛は残っていた。
「昔、俺らは兄妹多かったから順番に座らされて親父にバリカンで刈られたもんや。たん~まに散髪屋へ行く事があったけど、子供料金で丸坊主50円やったなぁ・・」と旦那。
「そうやなぁ、ワシが昭和27年に京都へ来て散髪行った時、大人料金で120円やったで。」
「やっぱり、そうか、そうやったなぁ・・」
他愛ない話を誇らしげに言う旦那がいる。
他愛ない話を喜んでいるおじさんがいる。

男同士の井戸端会議は~~~~~と続いたのであります。

――――こうしてモノポールの一日が終わるのです――――


     
丸坊主50円_d0088332_1673458.jpg

by fumiyoo | 2007-08-28 16:07 | モノポールの話